千利休の「わび」とは何?

「わび」とは

 

「わび」の話をするには「さび」もセットのようについてくるかと思いますが、それぞれ違う意味を持っています。「

 

 

わび」は「侘」と書きます。「貧粗、不足の中で心の充足をみいだそうとする意識」ということで、動詞「わぶ」の名詞形です。「わぶ」は、「気落ちする」、「心細く思う」、「閑寂を楽しむ」、「困って嘆願する」など、いろいろな意味があります。

 

 

もともとは「厭うべき心身の状態」を表現する言葉でしたが、中世になって「不足の美」を表現する美意識のようなものに変化し、室町時代後期の茶の湯と結び付くことで急速に広まったのです。

 

 

ちなみに、「さび」は「寂」と書き、「閑寂さの中に奥深いもの、豊かなものを感じられる美しさ」を表しています。

 

 

「わび・侘」に関する記述はかなり古くからあります。万葉集の時代からあるとされているのですが、美意識を表現する概念として用いるのは、江戸時代の茶書「南方録」からのようです。

 

 

以前は「そそう・麁相」という表現が近かったようですが、千利休は「麁相」であることを嫌っていた人物なので、同義ではないのでしょう。いずれにしても古い言葉であり、正しく理解しようとすれば、その背景を調べてみることが必要になってくるのです。